歯が抜けてしまったときの対処法の中から、ここでは、インプラントと差し歯を比較してご紹介しています。
一見、同じような治療法に思えるインプラントと差し歯ですが、実際には全く異なる治療法。それぞれの治療法の違いを明確にして、メリットやデメリット、料金相場などもおさえたうえで、どちらの治療法を選択すべきかを考えていきましょう。
インプラントと差し歯の特徴、および、それぞれの寿命を見てみましょう。
インプラントとは、アゴの骨にチタン製の人工歯根を埋入し、その上に人工歯となる部品を装着する治療法のこと。骨とチタンは強く結合する性質があることから、インプラントは非常に強度の高い治療法として知られています。
インプラント治療後10年目の残存率は90%以上と言われています。日常的なケアをしっかりと行っていれば、20年とも30年とも言われています。患者の心掛け次第で、インプラントの寿命は半永久的になると言えるかもしれません。
差し歯とは、天然の歯根に金属の柱を埋入し、その柱の上に人工歯を装着する治療法のこと。人工歯の素材の違いにより、保険診療と自由診療に分かれます。
保険診療による差し歯の場合、平均寿命は約7年と言われています。セラミックなどの自由診療による差し歯の場合には、平均寿命が約8~10年です。上手に差し歯を使っている人の中には、20年ほど持っている例も見られるようです。
インプラントと差し歯について、治療後に患者からよく聞かれるお悩みを見てみましょう。
インプラント埋入後の最大のお悩みは、ケアにやや手間がかかる点でしょう。3~4ヶ月に一度の頻度で定期メンテナンスに通院しなければならないほか、日常では、天然歯よりも入念なセルフケアを行わなければなりません。これら手間を怠ってインプラントに不具合が生じた場合、保証の対象にならないことがあるので注意しなければなりません。
「時間がたったら差し歯が変色してきた」「突然、差し歯が欠けた」など、さまざまなお悩みの声が聞かれます。「差し歯の近くの歯茎が黒ずんできた」という例もよくあるようです。
インプラントと差し歯の料金の違いを比較します。インプラントは自由診療なので治療費は高額。差し歯については、保険診療の被せ物を選べば料金はリーズナブルです。
インプラントの料金は、1本につき20万円台から50万円台が相場。インプラントの種類や素材、治療の難度、クリニックにおける料金の方針などにより、治療費はやや異なります。
保険診療による差し歯の場合は、1本につき3千円~8千円程度。自由診療による差し歯の場合は、1本につき4万円~15万円程度です。見栄えが気になる前歯を差し歯にする際、自由診療を選ぶ人が多いようです。
インプラントと差し歯の治療の流れを、それぞれ簡単に見ておきましょう。
歯科用CTなどを用い、歯の状態やアゴの骨の状態を精密に検査。正確なインプラント手術のためのシミュレーションを行います。
歯茎を切開し、アゴの骨の中へ、インプラント体と呼ばれる人工歯根を埋入。しっかりと奥まで入れたのち、インプラント体を隠すように歯茎を縫合します。
インプラント体とアゴの骨がしっかりと結合するまで、おおむね3~6ヶ月ほどの期間を置きます。
歯茎を切開してインプラント体をあらわにし、その上にアバットメントという部品を装着。アバットメントが歯茎から顔を出す形にして、周囲の歯茎を縫合します。
2次手術から1~6週間後、アバットメントの上に白い人工歯を装着して治療が終了します。
※1次手術と2次手術を同時に行う術式もあります。
打診やエックス線検査などで、歯や歯の周りの状況を検査。虫歯などの不具合が見つかった場合は、先に治療を済ませます。
歯根の中に、歯の土台(柱のようなもの)を埋入します。金属製の土台が一般的ですが、患者が希望すれば歯と同じような色のファイバーコアを使うことも可能。
土台に合わせ、差し歯の型をとります。
歯科技工士により、差し歯の製作が行われます。製作には一定の日数を要するため、この間、患者が希望すれば仮歯を装着します。
噛み合わせを調整しながら、完成した差し歯を装着してセメントでしっかりと固めて治療が終了です。
インプラントと差し歯について、海外での扱いを見てみましょう。
北欧を始めとしたヨーロッパ全土、およびアメリカ、韓国などにおいては、歯が根元から欠損したときの治療法として、インプラントは主な選択肢の一つとなっています。日本でもだいぶインプラントが普及してきましたが、欧米のほうが遥かに普及しているのが現状です。
インプラントの普及・拡大と反比例するかのように、欧米では、差し歯の需要が縮小してきたと言われています。並行して、ブリッジや入れ歯を選ぶ人も減ってきたようです。
以上、インプラントと差し歯の違いを比較しながら確認しました。
歯が欠損したときの治療法として、昨今ではインプラントを選ぶ患者もだいぶ増えてきました。差し歯に比べれば、機能性や寿命などの観点ではインプラントのほうが良いことは間違いないでしょう。
ただし、問題のない歯根が残っている患者の場合、差し歯でも十分に対応できる可能性があります。信頼できる歯科医師に相談のうえ、ご自身に最適な治療法を選ぶようにしましょう。
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