クリニックHPの医師紹介ページなどを見てみると、インプラント専門医、認定医、指導医と、様々な○○医という肩書が存在します。所属している学会も、様々な名前が見受けられます。インプラントの学会に所属し、『○○医』という資格を取得しているということは、インプラント治療における技術や知識において一定の基準を満たしていると言えるのでしょうが、名前だけではそれぞれの違いがよく判りませんよね。詳しく見ていきましょう。
インプラント専門医は、社団法人日本口腔インプラント学会が、インプラント治療の学識や技能を持つ者として認めた歯科医師に認定書を交付する資格認定制度のことです。
日本口腔インプラント学会は、歴史が古く、歯科業界最大を表明する学会です。口腔インプラントに関する研究発表・知識の交換・会員同士や各医歯学系学会との連携協力等などを行い、インプラント治療の発展と向上を活動の目的としています。主に歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科関連学校生などが会員の対象とされ、2023年11月時点での会員数は1万5,000人となっています。
日本口腔インプラント学会専門医の資格認定試験を受験するためには、下記の様々な条件を満たす必要があります。
学会が認めている学術大会や研修会、講習会に参加しており、インプラント医療に関しての十分な学識と技能経験を持っている医師に交付されるものです。 こちらはすべてクリアしている場合、認定医となります。
インプラントの世界には、認定医よりもさらに高度な専門能力を持った指導医という資格があります。 指導医とは、歯科医にインプラント治療の指導を行なえる立場の歯科医師のこと。大学病院には最低でも1名配置しなければならないことになっています。学会における論文発表やインプラント治療の実績など、様々な条件をうクリアし、そのうえで指導医試験に合格した場合に付与される資格です。 指導医の資格は、インプラント歯科医における資格としては最も条件が厳しくなります。
また、世界にも様々な学会があり、AAP(アメリカ歯周病学会)、AO(アメリカインプラント学会)、EAO(ヨーロッパインプラント学会)などが有名ですが、中でも『国際口腔インプラント学会(ICOI)』は、1972年に設立されて以来、その歴史と専門性において世界的な認知度がある学会です。米国ニュージャージーに本部が置かれている、世界最大のインプラント学会でもあります。日本支部も存在し、そこには多くの日本人歯科医が所属しています。 国際口腔インプラント学会が認定する資格には「ICOI 国際インプラント認定医(FELLOWSHIP)」と「ICOI 国際インプラント指導医(DIPLOMATE)」、「ICOI補綴学会部門のインプラント補綴専門資格(MASTERSHIP)」があります。
日本だけではなく、海外にも大きなインプラント学会がたくさんあります。国際レベルで活動する著名な5つの学会をご紹介します。
ICOI(国際口腔インプラント学会)とは、1972年にアメリカ・ニュージャージー州で設立された、世界で最も有名なインプラント学術団体。すべての患者に対して最良のインプラント治療を提供すべく、世界の医療従事者たちに対して継続的な教育活動を行なっています。歯科医師のみならず歯科技工士や歯科衛生士など、インプラントに関わる医療従事者に広く門戸を開放している点が特徴です。
中でも歯科医師と歯科技工士については、実績と審査によって「ICOI Fellowship(研修医)」や「IPS Mastership(マスターシップ)」などの資格を付与。高レベルの技術と実績を持つと認定された歯科医師については、「ICOI Diplomate(ディプロマット)」と呼ばれる資格を付与しています。
AAID(アメリカ口腔インプラント学会)とは、1951年にアメリカで設立された世界で最初のインプラント治療に関する学術団体です。インプラント先進国であるアメリカにおいて、大きく信頼されているインプラント専門学会の1つとして知られています。日本口腔インプラント学会と同様に、インプラント治療の実績のある歯科医師には、同学会から「Affiliate Associate Fellow Member」という認定医資格が付与されます。
AO(アメリカインプラント学会)とは、骨結合に関するケーススタディを検討するアメリカ発の学術団体。1982年に同国で開かれた「Osseointegration in Clinical Dentistry(歯科臨床における骨結合)」に参加した歯科医師たちが、その継続的な研究の必要性から設立した学会です。学会の方針は「患者のケア、および研究と教育の向上に専念する」。この方針に賛同した70カ国の歯科医師らによって構成されています。
EAO(ヨーロッパインプラント学会)とは、1991年にドイツのミュンヘンで設立されたインプラント研究の国際団体。方針は「学術滴実績と臨床現場との差を埋める」こと。臨床現場の質向上を図ることで、患者ケアの水準向上を目指しています。研究活動の他にも、情報発信や出版などを通じ、世界のインプラント歯科医たちにおける情報交流も推進。日本支部はないものの、向上心ある一部の日本人歯科医師は積極的に参加しています。
ITI ( The International Team for Implantology )とは、スイスのバーゼルに本部を置く国際的なインプラント歯学団体。1980年、インプラント治療に対する高い志を持った12名の歯科医師たちによって発足されました。団体の目的は「インプラント歯学、および関連組織再生に関する高水準の知識普及と振興」。日本にもITIセクション・ジャパンと呼ばれる支部があり、国際レベルでのインプラント歯学の普及活動を行なっています。
インプラント専門医の資格を得るには、インプラントに関する高度な知識を備えていることが前提ですが、それに加えて、豊富な臨床経験がなければなりません。また資格を維持していくためには、5年に1度の臨床条件をクリアし続けなければなりません。つまり専門医とは、学会で得た豊富な知識、および一定数以上の臨床経験を持つ歯科医師であることを証明する資格です。素人である患者が、信頼して治療を任せられる分かりやすい指標となるでしょう。
専門医は積極的に学会に参加し、国際レベルでの最先端の知識を常に吸収しています。治療現場で最新の知識・技術を活かしてもらうことは、患者にとっても大きなプラスとなります。 ただし、いかに最先端の知識・技術を習得していたとしても、歯科医院によってはその知識を活かすための設備環境が整っていないことがあります。宝の持ち腐れをしている専門医がいる、ということです。クリニック選びの際には、専門医資格の有無だけではなく、最新の設備環境を備えているかのチェックも非常に重要なポイントです。
学歴や臨床年数を確認しただけで、その歯科医師が良質なインプラント治療を行なえるかどうかを判断することはできません。インプラント治療は、高度な専門知識・技術とともに審美性に関わる経験も必要とされる特殊な医療分野。少なくとも専門医の資格がある歯科医師であれば、これら必要な要素を全て兼ね備えていることは確実です。もちろん、資格を持たなくても高度な技術を持つ歯科医師はいるため、クリニック選びの一つの基準として資格の有無を確認してみると良いでしょう。
専門医だからといって、必ず高い技術を持ち、安全性を保障してくれる、というというわけではありません。しかし、インプラント治療を検討する際にこうした『専門医』や『指導医』といった資格の有無は、医師選びの参考になります。
専門医の資格は永久ライセンスではないことが特徴で、継続的かつコンスタントに治療を行っていることもとても重視されており、資格の更新時には症例数やその経過などを厳しくチェックされます。
浅い経験しか持たない医師が簡単に取得できたり、要領の良い医師がマグレで取得できるような資格ではないので、医師の経験値や実績を確認する指標のひとつとしては、大いに参考になるものでしょう。
技術力が高いと評判の
インプラント治療
歯科クリニック