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インプラント治療について尾上剛先生にインタビュー

知っておきたいインプラントの基礎知識

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今回協力してくれたのはこの先生歯の画像

ごうデンタルクリニック 尾上剛先生

尾上剛先生の写真

ごうデンタルクリニックの院長である尾上剛先生にインプラント治療についてお伺いしました。インプラントを長期的に利用することを前提に考えた時にインプラントの事故やトラブルなど不安に思うことを率直に先生に質問してみました。丁寧にわかりやすく答えていただいたので、是非インプラントを検討する際の参考にしてみてください。

尾上剛先生について

先生の経歴を教えてください

私は神奈川歯科大学という大学を卒業後、新潟大学附属の新潟大学医歯学総合病院にて勤務をしていました。その後、専門性を勉強したいと考えるようになり、母校である神奈川歯科大学附属の横浜クリニックのインプラント科に入局しました。

そこでは、インプラントを中心に、歯を1本1本診るわけではなく1つの口の中として診るトータルケアの勉強に力を入れました。その後、東急東横線の都立大学駅という地で、30年にわたり地域に根付いていた斉藤歯科クリニックを継承し開業に至りました。

2年後に、斉藤先生の冠から自分の冠に暖簾替えを行い、現在のごうデンタルクリニックに至ります。この名前は、当時スタッフが「苗字でなくファーストネームでやれば良い」と言ってくれ決めたものです。また、クリニックのマーク等もスタッフが考えてくれたのはとても良い思い出です。

トータルで口の中を診たいという思いを持ってから歯科技工士免許も取得し、自分で作れるものは自分で作るといった歯科業界では一風変わったこともやっています。

先生はインプラント治療をどう捉えて取り組んでいますか?

インプラント治療は、様々な理由で歯を喪失してしまった時の治療手段の一つであり、本来の自分の歯に勝るものではありません。

しかし、他の歯に対する負担が少なく、ご飯を食べる能力(咀嚼能力)も本来の歯と大きな差が無い点は、インプラント治療の良いところです。現状では、様々な治療方法がある中で最もおすすめできる治療法です。

もちろんデメリットもあるため、患者様とゆっくりとお話をする中で選択肢の1つとして提案させていただいています。

長期的な目線でのインプラント治療

欠歯した場合には、すべてインプラントやブリッジ、入れ歯など同じ治療の方が良いのでしょうか?先生は患者の欠歯が増えてきた場合にどのように対応をされていますか?

その部位ごとに治療方法の選択が異なることは、何も悪いことではありません。当院の患者様でも、インプラント、ブリッジ、入れ歯のすべてを駆使して、ご飯を食べれるように人と恥ずかしくなく会話ができるように加療をされている方も多いです。

一方で、インプラント治療は欠損が増えてくると費用負担も莫大な金額になってきます。患者様の負担になりすぎない範囲内で提案ができるように心がけています。

インプラントのメンテナンスを継続的に受けた方と受けていない方での劣化度合いは大きく変わるものですか?

インプラントの残存率は世界中で論文発表されており、10年後でも9割の人が使用できていると言われています。しかし、この論文の多くは、同じ歯科医院にまじめに通い続けた人の統計となっていることがほとんどです。まじめに継続的にメンテナンスを受けていれば、10年で9割です。悪い数値ではないと思います。

しかし、他院から転院されてきた患者様等でたまにいらっしゃるのが、ご自身でなにも管理をされていなかったという方です。骨が大きく溶けてしまっていたり、歯周病のインプラント版でもあるインプラント周囲炎にかかってしまっていたりすることがあります。程度が悪いと撤去という流れになることもあるため、メンテナンスの重要性が強く示唆されます。

尾上剛先生の写真

インプラントを使っていく中で、インプラント体のネジが緩んだ場合にはどのような対応になるのでしょうか?

インプラント体のネジが緩むという質問ですが、おそらくインプラント体と上に乗っている歯の部分を繋ぐ部分のネジ、という質問と理解して回答させていただきます。

インプラント体自体もネジのような構造をしており、これが緩む(動く)ということはインプラント体撤去に向かってまっしぐらなので、最悪なパターンを考えなくてはなりません。

さて、上記のインプラント体(本体)と歯の部分(補綴物)を繋ぐネジですが、これは使用していると緩みます。締めたネジは、絶対にいつかは緩むものです。

そのような場合を考えて、ネジにいつでもアクセスできるよう設計をしていることが多いです。インプラントの歯の部分をよくみると、真ん中にほんのちょっとだけ色の違う部位が無いでしょうか?もしくは、裏側に小さな突起や凹みがないでしょうか?

その部分から緩んだネジにアクセスができるようになっており、緩んだ時には締め直すわけです。

インプラント治療での事故・トラブルについて

手術後の麻痺なども含め、手術の仕方や技術力で事故の確率を0%にすることは可能でしょうか?

事故を0パーセントにすることは絶対に不可能です。

車の事故をゼロにするなら、車の存在をなくさなければならないのと一緒です。インプラント治療は手術を伴う治療になるため、入れ歯やブリッジ治療よりも事故のリスクは高くなります。

歯科医師達は、もちろん事故を起こしたくありません。そのために入念に勉強し、準備し、シミュレーションを行い、スタッフ教育を行い万全の態勢で手術に臨んでいます。

少し闇の部分にはなりますが、現在のインプラント治療は歯科医師免許の他には特別な資格はありません。たった1日講習会に行っただけで、インプラント治療を導入している歯科医院があるのも事実です。

日本でのインプラント治療に限っていえば、日本口腔インプラント学会と日本顎顔面インプラント学会という二つの大きな学会があり、そこで資格を取得している先生であれば、しっかりと勉強をしているなという指標にはなると思います。

インプラントをいれた後に歯並びが悪くなる、噛み合わせがズレることは割合としてはどれくらいで起きるものでしょうか?

インプラント治療等で欠損した部位を補填しなければ、歯並びは崩れてきます。インプラント治療をしたから歯並びが悪くなるということは、よっぽどのことがない限りは起こり得ません。

例外としては、まだ年齢が若い人など身体の成長期中に治療を行った場合です。その場合は、成長と共に顔の大きさも変化しますから、インプラントの位置が追い付いてこないことがあります。噛み合わせのズレに関しては同様の理由で、歯を失った人がご飯を食べるために咬めるように顎を動かし、そのまま咬み続けることによって咬み合わせがずれてしまうことがあります。

そこにインプラント治療を行って本来の咬む位置に戻してあげることはあり、それを咬み合わせがずれたとおっしゃられることがあります。偏った咬み合わせにしておくと負担がかかり、バランスの取れた咬み合わせに正すインプラントを入れたことで悪い方向に咬み合わせがズレるというのは、少し違うかなと考えます。

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インプラントの人工歯部分が割れてしまった場合は、治療には別途費用がかかるものでしょうか?

費用に関しては、インプラント治療が健康保険の効かない自由診療である以上、クリニックによって異なります(一部保険診療範囲でのインプラント治療がありますが、ここでは割愛させていただきます)。

まずは、インプラント治療を行うクリニックが保証期間等を設けているかどうかです。保証期間内であれば無償のところもありますし、償却型で「何年目の場合は何割負担」といった形のクリニックもあります。また、材料代や技工料のみで修復してくれるクリニックもあります

そのため、保証が無いクリニックであれば、歯の部分を作り直す費用が発生すると思われます。クリニックによって全然値段は違いますが、8万円~20万円くらいの幅には収まるかと思います。

生活をしている中で、インプラント体の部分が割れてしまうケースなどもあるのですか?その場合にはどのような対応になるのでしょうか?

インプラント体というのは、骨の中に埋め込んだネジの部分をいいます。そのネジが割れてしまったときは、残念ながら撤去となります。撤去した後は再度インプラント治療を行うのか、他の治療法を選択するのかを患者様と協議して決めることになります。

インプラント撤去に関しては保険診療で行うことが可能ですので、インプラントを行った歯科医院と別のところに行くことも可能です。気になる症状があるまま放置してしまうのが、一番歯医者さんとしては嫌がるところになります。

最後に

今、インプラント治療を検討されている方にアドバイスがあればお願いします。

インプラント治療は時間と費用がかかる治療法です。

しかし、患者満足度も非常に高い治療で、多くの患者さまから支持されています。最大のメリットは両隣の歯を削らないことです。

私はよく会社に例えて説明をするのですが、無くなった歯の仕事を両隣に振るのはいかがでしょうか?人員補充をしないと、いつか立ち行かなくなるものではないでしょうか?

そして入れ歯であれば取り外す手間と、プラスチックの違和感がついて回ります。その欠点を補えるのが、インプラント治療です。

もちろん、インプラント治療にも懸案事項があります。最初に述べた費用と期間は言わずもがなですが、手術を伴う治療のため、身体が手術に適応できるかといったことです。

糖尿病の方や骨粗鬆症の方などは、インプラント以外の治療を検討することも必要な場合があります。また、年齢を重ねて介護される立場になったことを考えると、介護する側の人間は入れ歯が一番洗いやすく楽です。

もちろん歯が残っている人のほうが健康寿命が長く、認知症の発症リスクが低いのは常識であり、入れ歯よりインプラント治療の方がしっかりとご飯を咬めるため、考え方、価値観に寄り添ってお話ができればよいなと思います。また、治療を受ける歯科医院を選ぶアドバイスとしては、やはりしっかりと勉強をされている先生を探すことが良いと思います。

今の日本の法律では、インプラント専門医と看板を出すことは禁止となっているため、ホームページ等の先生の経歴欄に資格を書いてあることが多いです。所属学会が多いだけの先生よりは、専門医や認定医、専修医などそこから1段階上にいっている先生であれば安心だと思います。

あとは、長期間の治療になるため、先生やスタッフと会話をする中で少しでも疑問に思うことがあれば質問をしたほうが良いですし、クリニックに不安事項があるなら転院も検討して良いと思います。

人間同士、気持ちよく治療を受けられることはとても大切です。

Special Thanks【尾上剛先生】

尾上剛先生の写真

勤務先

  • ごうデンタルクリニック
    https://go-dentalclinic.jp/profile.html

経歴

  • 2009年 神奈川歯科大学歯学部卒業
  • 2010年 新潟大学付属医歯学総合病院勤務
  • 2011年 神奈川歯科大学附属横浜クリニック インプラント科入局
  • 2013年 斉藤歯科クリニックを継承し開業
  • 2015年 斉藤歯科クリニックをごうデンタルクリニックに改名

資格

  • 歯科医師臨床研修指導医(厚生労働省認定資格)
  • 歯科技工士免許(国家資格)
  • インプラント専修医(日本口腔インプラント学会)
  • 高濃度ビタミンC点滴認定医(点滴療法研究会)

所属

  • 日本口腔インプラント学会
  • 横浜口腔インプラント研究会(運営委員)
  • 点滴療法研究会
  • 国際オーソモレキュラー医学会

問合せ先

  • 03-6459-5975
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