目白ヶ丘デンタルクリニック・矯正歯科の院長である藤澤將人先生にインプラント治療についてお伺いしました。インプラントを利用することを想定した際に思いつく不安なところや疑問について先生に質問してみました。丁寧に答えていただいたので、是非インプラントやオールオン4を検討する際の参考にしてみてください。
私は目白の聖母病院で産まれ、生まれ育った目白で理事長を務める父と目白ヶ丘デンタルクリニックを開業しています。
もともと父が矯正治療と一般治療を共に行う歯科医師であったため、私もそのような診療スタイルを行いたいと考えていました。
日本歯科大学を卒業後は、付属病院の小児・矯正歯科に入局し矯正治療に携わってまいりました。
しかし、大学病院の矯正歯科に勤務している間は矯正治療の技術向上に専念する必要があったため、当院を開業するにあたって改めて一般診療も集中的に学ぶこととしました。
縁があって、アメリカやスウェーデンで歯周病と虫歯の予防の治療について専門的に学ぶ機会をいただき、そこで出会った先生方と継続的に歯科医療全般について共に学ぶことができました。
現在も先生方とは交流があり、今後もアンテナを広げながら知識と技術を研鑽し続けていきたいと考えています。
また、当院でも2014年から有志のメンバーを募って月一で勉強会を開催し、今までの開催回数は80回以上、参加したことのあるメンバーも100名を超える規模になっています。
インプラントはブリッジや入れ歯に比べて、現在口腔内に残っているご自身の残存歯に負担をかけない治療方法です。
やり方としては、失った歯の骨に人工歯根と呼ばれる純チタンのインプラント体を埋入し、その上に人工歯を装着します。
純チタンには、金属であるにも関わらず生体である骨と一体化する「オッセオインテグレーション」と呼ばれる特徴があり、インプラントはその機能を応用しています。
それによって、周囲の歯に侵襲を与えることなく欠損補綴ができ、歯があった時と限りなく似た環境に戻すことができるのがインプラントの最大の利点です。
また、インプラントが初めて人体に用いられたのは1960年代とおよそ60年の歴史があり、正しい知識と技術で治療を行うことで良好な結果が得られることが長く知られています。
骨の量が足りない場合は骨移植をする場合がありますが、あくまでも既存骨のサポートにすぎないということを覚えていただきたいです。
上顎に移植した骨が吸収してしまい鼻の奥の空洞である上顎洞にインプラントが落ちてしまったり、移植した骨が感染してしまったりした際には、ごっそりまるごと移植部位を除去しなければいけないケースもあり得ます。
理想的な上部構造(インブラントの人工歯)をつくるためにどうしても骨の移植が必要なケースもありますが、主に既存骨がインプラント支持をすることを想定して骨移植の量を選択することが大切だと考えます。
インプラント体が完全に粘膜に埋まっているのであれば、長期的に骨内に待機させておいても問題ありません。
ただし、哆開といって粘膜の薄い部分からインプラント体が一部露出している場合には、清掃不良となり細菌感染してしまう可能性があります。
その場合は、粘膜の形態修正などを行い清掃しやすい形態にする必要があります。
インプラントの上部構造が装着されるまで期間が長期的に空いてしまうと、歯を欠損部した部位(インプラント体が埋入されている部位)の前後の歯が空隙に向かって傾斜し、倒れ込んでくることがあります。
もしくは、対合歯(噛み合う相手の歯)が空隙に向かって伸びてきてしまう可能性もあります。
前述のような歯の移動を防ぐために、周囲の歯の環境を保つ役割を持つマウスピースを使用するのが有効です。
また、粘膜の中に完全にインプラント体を埋めて二回目の手術をする「二回法」ではく、埋入手術後にインプラント体が粘膜から頭を出している状態とする「一回法」の場合には、きちんと清潔な状態を保っていないと細菌感染をしてしまい、インプラント体と骨が結合しない可能性があります。
ですので、清掃を行う際には十分な注意をしてください。
インプラントの撤去が必要になるのは、①埋入後に骨と結合しなかった場合、②インプラントの周囲の歯が歯周病菌によって骨がなくなっていくインプラント周囲炎になった場合、③インプラント体が折れてしまった場合の3種類のケースです。
①の原因はいくつかあり、1つ目は埋入手術の際の熱によるオーバーヒートで骨が火傷してしまうことが考えられます。これを防ぐためには、注水をしっかりすること、ドリリングを一気に進めずに少しずつ進めていくことが大切です。
2つ目の理由は埋入手術中の細菌感染です。これは、事前の器具の滅菌や術前の周囲の歯の清掃が大切です。
3つ目は糖尿病や骨粗鬆症など、骨の代謝に関わる全身疾患です。こちらは内科の主治医と相談して体調管理を徹底することが大切です。
4つ目は喫煙です。喫煙はインプラントの成功率に影響を及ぼすと言われています。禁煙してもらうことはインプラントの成功率を上げるためには大切な事項です。
次に、②を防ぐには歯周病治療がきちんと完了していることが必須条件です。
歯周病がインプラントに波及してしまうと、天然の歯のように治療をしても上手くいかず、骨が痩せていってしまうのを完全に防ぐのは難しくなります。
事前に歯周病治療を徹底し、術後も定期的なメインテナンスを行って歯周病に罹患しないようにしましょう。
③に関しては、人工歯を装着した後も定期的にかかりつけ医に噛み合わせをチェックしてもらうことが大切です。
また、歯ぎしりによる歯やインプラント体への負荷を軽減させるために、就寝時にマウスピースを使用するのも有効です。
人工歯はインプラントの耐久性に影響を及ぼします。
清掃しやすい形態にすれば、見た目が悪くなったり食べ物が挟まりやすくなります。
しかし、審美性や物が挟まらなくなることを優先すると清掃がしにくくなり、インプラント周囲炎のリスクは高くなります。
インプラントの素材にもジルコニア、セラミック、プラスチックとセラミックを混ぜたハイブリッドなどいくつかあり、それぞれ硬さや色や劣化の早さなどの利点欠点が異なります。
それらは、担当の歯科医師の設計に従って歯科技工士が作成します。
噛みやすさや心地よさは、歯科医師の設計、設計通りに作る歯科技工士の技術、歯科医師と歯科技工士の意志の疎通や連携が大きく影響します。
オールオン4とは、最小4本のインプラントを埋入して片顎12本の人工歯を支える治療法です。
多くの歯を少数のインプラントで支えるため、インプラント1本1本が非常に大切な支台となります。
オールオン4のインプラント体に不具合が生じた場合には、除去しなくてはならないインプラント体の近隣に新たにインプラント体を追加埋入し、オールオン4の人工歯と連結するという対応を取ります。
このような不具合を起こさないためにも、あらかじめ安全策として5〜6本ほど事前に埋入しておく場合もあります。
オールオン4のインプラント体に加わる荷重は、歯がある患者さんに行う通常のインプラントよりも強い力が加わります。
そのため、インプラント体はある程度の太さや長さが必要ですし、製品によってはインプラント体と上部構造の連結機構がオールオン4に適していないものもあります。
しかし、物によっては10年、20年が経過していてもオールオン4に切り替えることができるインプラント体もあり、既にインプラントを行っている方でも切り替えは可能です。
インプラント治療では、将来を見越した治療計画とインプラント体の選択が大切です。
学会に所属して継続的に知識と技術を研鑽し続けている先生はとても信頼できます。
しかしながら、学会に所属しているだけの先生も少なからずいらっしゃいます。
学会のみならず、インプラントにはさまざまな勉強会が存在し、インプラントを継続的に学ぶ機会は多くあります。
ここでポイントなのは、どの学会や勉強会に参加しているかではなく、どのような学び方をしているかです。
また、インプラントはメインテナンスをして噛み合わせの問題やインプラント周囲炎が発症しないようにすることが大切です。
そのため、担当の歯科医師としっかりとお話をして、ご自身の口腔内に最も適したインプラントを選択していくことが重要です。
インプラントを検討する際に、「手術が怖い」、「治療費が高い」、「家族が反対する」などいろいろと悩みが多いと思いますが、インプラントはブリッジや入れ歯に比べて、現在口腔内に残っているご自身の残存歯に最も負担をかけない治療方法です。
そのため、残存歯を咬合力(噛む力)による劣化から守るという点でもメリットが大きいです。
また、支払い方法に関しては複数回に分けて分割払いするデンタルローンやカードローンを利用できる院も多くあります。
不安に思うことはなんでも担当医に相談し、しっかりと理解を深めてください。インプラントは、きっとあなたが毎日の生活を楽しむ際に役立ってくれると思います。
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