


本荘歯科クリニックの院長である本荘真也先生にインプラント治療や患者さんのことについて率直に聞いてみました。いろいろ質問に対して丁寧にお答えいただきましたので、是非参考にしてみてください。
高校時代から漠然と医療関係の仕事に就きたいと考えていました。元々は父親が歯科医院を開業していますので、その姿を間近で見ていたのは大きいですね。出身は鳥取県鳥取市ですが、多くの人や情報が集まっている東京で研鑽したいと思い、大学は父親と同じ日本大学歯学部へ進学しました。
研修医として大学附属病院で経験を積んだ後も、出来るだけ多くの知見を取り入れて、良いものを持ち帰ろうと考え、埼玉県の浅賀歯科医院へ研修し、卒業後勤務しました。浅賀歯科医院は法人理事長がインプラントの著名な先生であり、他にも幅広い専門分野を持つ歯科医が20名ほど在籍しており、貴重な経験を積むことができました。
32歳になった年に鳥取市に戻り「本荘歯科クリニック」を開院いたしました。患者さんと生涯に寄り添うクリニックとして、世界基準の滅菌技術を取り入れたり、清潔さと明るさを大切に設計いたしました。今でもコロナ禍にかかわらず多くの患者さんに御来院頂いています。
私個人の考えとしてはインプラント治療は比較的安全だと思います。私の妻が生まれつき乳歯が1本生えかわらず、その歯を失ってしまったタイミングがありました。ブリッジ・入れ歯・インプラントと選択肢がある中で、私はインプラント治療を選択しました。この選択は私自身がインプラント治療が安全で良いものと考えているため、家族にもやってあげたいという想いがあってこそです。
ただ、安全とは言っても、インプラント治療は残念ながら誰もが問題なく噛めるようになり、生涯保てるような魔法のような治療ではありません。インプラントの成功率は5年間で90〜95%と言われていて100%ではないです。
インプラント自体は虫歯にはなりませんが、普通の歯よりも歯周病になりやすくなります。必ずインプラントを入れた後はリスクを回避する方法としてセルフケアや歯医者でのメンテナンスは行うようにしましょう。

日本の保険治療は、そもそも全ての国民が最低限の治療を受けられる権利です。最低限であって、先進医療や最高の技術を提供するものではありません。虫歯を治療する場合でも、銀歯は保険適用ですが、自然な見た目を維持するためのセラミックは保険適用になりません。国民皆保険制度では、全てをカバーすることは難しいかなと思います。
ただ、顎骨に腫瘍が出来たりして手術により取ってしまった場合や、病気で大きく骨を失ってしまうような特殊な場合はインプラント治療でも保険適用になる場合があります。
日本と海外で技術力に差はないと思います。日本人は欧米人の骨格と比べると歯茎や骨も薄く、口のなかも小さい傾向があります。エビデンスがあるわけではありませんが、海外の大きくごつい体格の処置を行うよりも、日本人のお口を施術する方が難しいと思います。日本の歯科医の先生は勉強熱心な方も多いですし、その点においても技術力は劣っていないと思います。
しかし日本では薬事法の問題があり、海外に比べると新しい材料や技術が入り難いとは言えます。現存する技術は劣っていないけども、挑戦的で革新的な技術はアグレッシブにトライできる海外の方が早く取り入れられているという違いはありますね。
日本の学会に比べたら、海外のインプラント関連の学会に所属している日本人の先生は少ないです。海外でのインプラント関連の学会では、「国際口腔インプラント学会」という学会が最も規模が大きく、日本でも認定医を取得している先生もいらっしゃいます。

歯を失った時に復活させる技術になると思うのですが、一つは移植ですね。例えば前歯をぶつけて失ってしまった際に、自分の親知らずなどの別の歯を、失ってしまった歯の場所へ入れる。また抜いた親知らずを冷凍保存しておき、使う方法などはあります。
さらに進んだ治療方法になると、まだ研究段階ではありますが、「歯の再生技術」と言って、自分の細胞を元に自分の歯を復活させ、抜けてしまった部分に入れるという技術は現在も研究されています。
既存の方法として入れ歯やブリッジは昔は金属の材料しかありませんでしたが、今はメタルフリーの材料が増え、見た目が自然になったり、壊れにくく長持ちになったり技術改良は進んでいます。しかし見た目や機能性においてはインプラントに代わる、とまではまだ言い難いと思いますね。
実際に患者さんに聞いたわけではありませんが、私の感覚では2〜3件ほど歯科医院を見て来られている患者さんが多いと思います。今はインターネットで治療や内容、費用を調べてから検討することが出来ますので、5件10件も回っている患者さんは少ないのではないでしょうか。
矯正やホワイトニングと違い、インプラント治療は費用もかかりますし、手術も必要ですので、不安に感じたり、初対面の先生にいきなりお願いしづらい方も多いと思います。そのため、いくつか歯科医院へ足を運んでみて、自分が信頼できる先生のところで受けたいと考えている患者さんは多いでしょうね。
根本的にインプラントは自由診療なので、いくらで治療しなさいというルールはありません。費用もバラバラで、安さを売りにしている歯科医院もあれば、値段は高いけどクオリティを大切にする歯科医院もあります。最終的には患者さんの価値観で決めることだと思います。
大前提として、安さだけで選ぶことはおすすめしません。体に埋めるネジでも世界中に100種類以上のメーカーがあり、モノによっては値段が10倍くらい違います。高いインプラントは研究費用をかけ、徹底して清潔な環境で作られたもので、実績などから信頼があります。
インプラント治療後は20〜30年健康な状態で維持する必要がありますので、材料によっては壊れやすかったり、トラブルが起こると、せっかくインプラントを入れたとしても再治療が必要になってしまうことだって考えられますよね。そう言った意味で長持ちするインプラントは長い目でみたらお得だと言えます。
もう1つお得に治療を受ける方法として医療費控除を使う手があります。インプラント治療は保険適用ではありませんが、治療費として確定申告で申告すれば、還付金として一部返ってくる場合があります。こうした国の制度もきちんと使うとお得に治療は受けることはできます。

インプラントは入れたら終わりの治療ではなく、長くお付き合いをしていくことになります。予算面や手術に関して不安に感じる点も多いと思います。インプラント治療は昔に比べたらかなり一般的になり、インターネットである程度調べることが出来ます。それでも不安に感じる点があれば、実際に歯科医院に足を運んで専門の先生に聞いてみましょう。
失ってしまった歯を補う治療法には入れ歯やブリッジなどの他の方法もありますが、インプラント治療はメリットも大きく、他の歯への影響を最小限に出来たり、お食事でも問題なく噛めるという”ストレス”も減らせます。治療からその後のメンテナンスまでを含めて安心して納得して治療が受けられるような選択をして欲しいと思います。

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