ヤマヂ歯科・矯正歯科クリニックの院長である山地 晃二郎先生に先生目線でのインプラント治療のこと、患者さんのことについて聞いてみました。インプラント治療における必要な設備や選択すべきクリニック情報に至るまで質問に答えていただきましたので、是非参考にしてみてください。
私は福岡出身で4人兄弟の末っ子として生まれました。両親が2人とも歯科医師で開業していたので、歯科医師を目指したのは家族の影響が大きいですね。
歯科医師として頑張りたいという大きなモチベーションを持ったきっかけは、大学時代にインプラントと歯周病治療の大家である「水上哲也先生」の講演を聞いて感銘を受けたことです。私もこの全国レベルの技術を習得し患者さんのお口の健康に貢献したいという想いが生まれました。大学外研修では希望した水上歯科クリニックで研修を受けることができ、レベルの高い医療技術はもちろん、歯科医師としてのあり方まで多くのことを教わりました。
その後実家の歯科医院に戻り、2019年に九州インプラント研究会に所属しました。1年がかりでインプラント100時間コースを修了し、そこでも数多くの症例を経験しました。これまで培った知識や経験を元に、患者さんへ安心安全な歯科治療を提供できるよう尽力しています。
最低限必要だと考えるのは歯科用コンビームCTです。インプラントは基本的に骨がある場所に埋めなければなりません。CTを使えば骨がある場所を事前にモニタリングすることが出来るのですが、昔のインプラント手術では感覚で手術を行うことも多く、事故や予後不良も報告されています。インプラント手術をするなら絶対にCTの設備は必要だと思います。
また、少し専門的な話になってしまいますが、術時に生体モニターはあった方が良いです。手術中は痛みや体の反応で血圧の急激な上下が起こりえます。自動で血圧測定をモニターすることで、こうしたリスクに迅速に対応することができます。
他に、特殊な骨の形や口内環境をお持ちの方は、骨移植などインプラントを埋入する前に必要な処置に応じて設備が整っている必要があります。私の院は人工骨を用いての骨の再生や骨移植が行える手術器具、上顎洞底挙上術を行うことができる手術器具、など必要に応じて使う器具や設備を揃えています。また、インプラント治療前に歯周病や歯並びを治す必要がある方のためにも環境が揃っていると尚良いかと思います。
衛生状況に差はあります。特に個室の手術室はない病院は多いと思います。手術室が個室ではない場合、清潔な空間をいくら作っても限界はあると思います。衛生状況が悪いと術中や手術後に感染を起こしてしまい、手術早期にインプラントが脱落してしまうことがあります。
中学生や高校生にインプラントは禁忌であり行いません。年齢的にまだ骨が未成熟なので、インプラントを入れることは出来ても大人より脱落しやすくなります。
ただし、インプラントが入れられないからと言って歯を失ったまま放置すると、歯のバランスがとれず両隣の歯が動いてきてしまい、大人になってからインプラントを入れるスペースが確保できない場合があります。
当院では中高生で歯を失なった患者様に対しては、20歳でインプラントを入れることを推奨しています。その場合も一時的に部分入れ歯やリンガルアーチという器具に人工の歯をつけた装置を使って、今あるインプラント挿入スペースを維持し、20歳を過ぎた段階でインプラントを埋入します。
私個人としては、総合的に様々な歯の治療をしている歯科医師へ依頼することをオススメします。例えば、歯周病を持っているのにも関わらず治療せずにインプラント治療を受けた場合、一時的には問題が無くても長期的にはインプラント周囲炎が引き起こされインプラントがダメになってしまう可能性があります。
インプラント専門歯科医院では、売上げをインプラント治療に頼っている先生もいらっしゃると思います。全員ではないと思いますが、患者さんによってはまだ残せる歯も抜いてインプラントをした方がいいと提案する先生もいらっしゃいます。
ダメな歯を頑張って残すのも大変なので、抜いてインプラントにする方が早いといえば早いんです。しかし総合的な治療を行う歯科医院では、インプラントなしでまず計画を立てるため、長い目で見てお口の中全体を回復させる可能性が高くなります。6本歯が無くなったから6本インプラントを入れようではなく、歯並びを整えてお口全体に対し必要な本数だけ入れられるような、総合的な判断ができる歯科医師に相談いただければと思います。
歯科医師がそれぞれ勉強してきたバックグランドや考え方によって最終的には判断されると思います。考え方をざっくりと分けると、安価でも信頼できる後発インプラントメーカーを使用し、より安く患者様にインプラント治療を提供する先生と、昔から実績のある高価なインプラントメーカーを使用し患者様に安心を提供する先生と二分されると思います。
実績があった方が安心だとは思いますが、私個人的にはインプラントは値段と関係なく、同じチタンという素材でできている以上は、基本的に歯の骨にくっつかないということはないと考えています。
当院では大手のストローマンインプラント、他にオステムインプラント、バイコンインプラントといったメーカーを使い分けています。考え方としては、インプラントの予後を決めるインプラント周囲炎が起こりにくい材質や形質をしていることと、成功率や長期予後の安定性が高いかどうかを重視します。基本的にはストローマンインプラントは症例数も多く最も良いインプラントシステムの1つですが、患者さんが負担する値段が高額となってしまうため、患者さん次第ではある程度の維持が見込めるメーカーを提案します。
きちんとしたインプラント治療を行えば20年はもちますが、インプラント周囲炎の影響で長期の予後には不安が残ります。永久に保持できるものではなく、むしろ普通の歯よりもどうしても予後は悪くなりやすいです。
インプラントを入れた方には定期メンテナンスに来ていただくことを推奨しており、定期メンテナンスによって問題を早期に発見し、対応することで長期予後を実現しています。またインプラント周囲炎にかかってもスケーリングや光殺菌療法を行うことでインプラント周囲炎が治ったケースも多く経験しています。
もちろん患者さんが毎日行う口腔ケアも重要です。患者さんと歯科医師が協力することでインプラント周囲炎の発症を長期間にわたり限りなく抑えることは可能と考えます。
当院では北九州市全域と福岡市、飯塚市、行橋市から通って下さっている患者様が多いですね。山口県や熊本県など近隣の県からもご来院頂く方もいます。距離にすると半径40km圏内の患者様が口コミを頼りにご来院されています。
来院される方は実際に治療を受けた患者さんからの口コミによるところが多いと思います。インプラント治療のみでなく矯正治療や歯周病治療も可能なことから、噛み合わせが崩壊している患者様も治療することができる腕がある、ということで選んでいただいているのではないかと考えます。
他に出来るだけ患者さんのご負担が減るように、後発メーカーさんの中で使える材質を選んで使うことでリーズナブルな治療も提案するようにしています。こうした面も評価されているかもしれません。
看板や口コミではないでしょうか。お口の状態や噛み合わせなどで困っている人がいたらぜひ紹介してくださいと先生が伝えているところはあるかもしれません。歯科医院によってはチラシを使って紹介プレゼントを行っているところもあるみたいですね。当院ではインターネットのホームページを見てこられた方や口コミでご来院される方が多いです。
歯を失ってしまった方がインプラント以外を選択するなら、入れ歯かブリッジになると思います。ただし入れ歯もブリッジも長期的には支えとなる歯が悪くなってしまいます。費用面で可能であれば、残る歯を守るためにもインプラント治療を受けられることをお勧めいたします。
手術のリスクはもちろんゼロにはなりませんが、インプラント治療はメリットとリスク双方の面から考えても、手術をしないことのデメリットの方が大きいです。治療技術は昔よりも向上し、CTやガイドを使用することで手術自体はリスクの高いものでは無くなっています。
費用面で心配な方は医療費控除を利用すれば税金が戻ってきますし、一括払いのみでなくデンタルローンという手数料の低い分割支払いを選ぶこともできます。迷われている方は担当医へぜひご相談下さい。
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